紙ブグロはてな

新しいものについ飛びついてしまった後悔を綴ることになりそうな気がするけれどならないかもしれないブログ。

ウクレレコードフォームの幾何学

知っている人にとっては、何を当たり前のことを……という内容なのかもしれないんですが。

こないだ、ウクレレのコードの整理をしてたんです。体系的に覚えたり、自分専用の歌本を作ったりするのに有用かなーと思って。
で、下記のような形でコードを図にしていくわけなんです。この事例だとBコードのメジャートライアドとマイナートライアドが、指板上の低い位置から順に並べてあるわけです。
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見ていて、あれ……前から思ってたけど、妙に似た形が多いよなあ……。

並べ替えてみると、はっきりわかります。
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それぞれのメジャーコードと対を成すような形で、マイナーコードが存在している。

たしかにメジャーコードは、下から根音・長3度・短3度になる一方で、マイナーコードは下から根音・短3度・長3度となり、音程としてはメジャーコードとマイナーコードは、ちょうど上下反転した形になります。
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しかし、コードフォームがちょうど正反対に回転するようなうまい話があるでしょうか。少なくともギターではうまくいかない。

そこで、指板をひっくり返したものと比較してみてみることにしました。
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上が普通の指板の音程、下がそれをひっくり返した表記です。

すると、こういう対応が見えてきました。
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綺麗に反転しています*1

逆に、コードフォームが点対称のコードについて考えてみます。
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Bm7もBM7も、コードフォームが点対称になっているものがあります。

マイナーセブンスコードは、下から根音・短3度・長3度・短3度。メジャーセブンスコードは、下から根音・長3度・短3度・長3度を重ねた音程です。たしかに、逆順にしても同じ音程の構造になっているのがわかります。同じく逆順にしても音程の構造が変わらないコードにオーギュメントコードやディミニッシュセブンスコードがありますが、これらにも、同様に点対称のコードフォームがあります*2

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この辺をいろいろいじっていると、sus4コードとsus2コードの関係性とか、いろいろ気づくことがたくさんあるように思います。コードフォームの変形で、実際の和音がどう変わっていくのかを探っていくのは、実に楽しい。

音楽理論的には、こんな大雑把な理解はとても危険なのですが、ウクレレの場合、弦が4本しかないため、根音が高音部とか珍しくなく、またそれを許容するアバウトさと大らかさがあります。そういう、ざっくりした楽しさなども、ウクレレの魅力なのではないかと思いました。

*1:調弦を変えると、ここまで綺麗に反転になりません。例えばすべてを4度調弦にすると、次図のような対応になります。f:id:hi_kmd:20180131121923p:plainただ、指板上での平行移動になるので、コードフォームが反転するということは共通して成り立ちます。コードフォームの反転がギター上では成り立たないのは、ギターの長3度調弦になるのが3弦と2弦の間だからと思われます。長3度調弦が4弦と3弦の間ならば、コードフォームの反転は成り立つ。

*2:シックスコードも回転対称のコードがあるけれど、これは根音・長3度・短3度・長2度で、シンプルに逆順ではない。逆順の展開系がシックスコードと共通の音程構造になる。